■火災保険が必要な理由
火災保険は、建物やその中にある家財が火事で焼失したり、破損したりした場合に、その損害を金銭(保険金)で補償しようとするものです。そのため、加入者からは定期的に保険料を集めて、いざというときのために、保険会社が預かっておくのです。
保険会社は、保険料収入を売上だと考えているかもしれませんが、保険本来の意味合いからすると、加入者から預かっているお金にすぎません。しかも、火災だけでなく、台風・竜巻・水害・雪害・落雷・雹害など、自然災害や、人為的ないたずらや過失など、幅広い被害から補償してくれることは、保険契約書にもハッキリと書かれています。ただ、最初は火災の被害を補償するために始まったのは間違いありません
■”うっかり火事でお隣に延焼”の責任を軽くする法律

日本には失火責任法という法律があります。過失によって、家を火事にしてしまうことを「失火」といいます。ただ、自宅を火事にしてしまうことは、ご自身や家族の自己責任だけで済みません。隣家に延焼させるおそれがあるなど、社会的な危険や迷惑を及ぼすからです。そのように、たとえうっかり、過失であっても、他人に対して損害を与えたときには、原則として、その損害を賠償する責任を負います。ただ、失火責任法は、過失による延焼について責任を軽減しています。大人として通常の注意をしていれば避けられたような重大な過失(重過失)によって、延焼させた場合に限って賠償責任を負えばいいとされています。たとえば、たばこの不始末や、天ぷら油に火をかけたまま放置するなど、明らかに過失の度合いが重い場合にのみ法的責任を負い、それ以下の過失については責任を免れるという定めです。
日本では伝統的に木造建築が多く、室内などで生活に使う火が何かに燃え移り、ひとたび大きな炎が立ち上がれば、家屋に燃え移る危険性が高く、さらに延焼することも多かったのです。それで、うっかり火災を起こした場合に、延焼の責任を軽くしているのです(日本だけでなく、同様の規定を設けている国にもあると思います)。都市部を中心に鉄骨鉄筋コンクリート、難燃性の建造物が増えても、失火責任法は残っています。地方ではまだまだ木造の一軒家が多いからです。刑法でも失火罪という罪名があり、罰金刑が定められています。また、ガスコンロの消し忘れやたばこの不始末などでは、重過失失火罪が定められており、最高で禁固刑となっています。しかし、よほど悪質でない限り、検察官の判断で起訴されず、裁判にかけられることはとても少ないです。その点でも、うっかり火事を起こしてしまった人は、法的に手厚く保護されているのです。
■火災保険が日本で普及した理由
一方で、失火の延焼によって自宅が火災に見舞われた被害者に対しては、賠償を受けられないなど、法的な保護があまりにも不十分だという一面があるのです。よって、火災保険は、失火者が手厚く保護されている国において、失火のせいで自宅を焼損した被害者を救うしくみだといえるのです。つまり、「自分の家は自分で守る」という考え方が、火災保険を普及させたといえるのです。さらには、自分の責任とは一切関係のない自然災害についても、その被害を幅広く補償するようになり、火災保険は「自然災害をも上手く活用し、収入源とする」ものとして発展していったのです。
■火災保険と自動車保険は仕組みが違う
自動車保険では、保険金申請をしなければしないほど毎年保険料が下がっていく「等級制度」が採用されています。ただ、申請すれば保険料が一気に上がりますので、少額の被害であれば、自腹を切って修理したほうが得になります。一方で、火災保険は何度使っても、それが原因で保険料が上がることはありません。よって、家屋や家財に被害が見つかれば、迷わずに申請したほうがいいのです。ただし、申請額が一定水準以下なら、保険料の支払いがおりない「免責」が設定されていることも多いです。













PAGE TOP